歌謡曲が好き!

ガールポップの時代

2021/12/21
1980年代の後半、というか90年代に近いあたり、もう「歌謡曲」的なヒットソングはなかなか生まれなくなってきていますし、少しづつ「個」が尊重されるようになってきますと子供に個室が与えられるようになり、そして各個人がお部屋にテレビを持ったり、ラジオを聞いたりで「居間で家族団らん」ということが少なくなります。
家族全員が知っている歌番組を見て、バラエティを見てという習慣が無くなってきますと、大ヒットソングはなかなか生まれなくなってきますね。そしてそのゴールデンタイムの歌番組が90年頃を境に軒並み終了してしまうという、新人歌手にとっては冬の時代の到来です。
さらに世はバンドブーム。バンド以外の形態では出演できない番組や雑誌類も多々ありますから、単独の「歌手」にはメディア露出すら難しい時代になっています。

そんななかで、アイドル歌手が冬の時代として活躍できる場が少なくなる中で、あらたなブームが生まれてきます。それがガールポップブームになります。でも、ガールポップと一言で言っても、なかなかつかみ所が無い面もありましょう。

当サイトではガールポップを
・1987年~1990年代に活動
・本人が歌う(グループやバンドではない)
・自身が作詞・作曲など楽曲制作にも関わる(ただし提供曲も歌う)
・アイドル的な要素がある
と定義しようかと思います。

今回ガールポップを取り上げるのには理由があります。Spotifyなどの配信サービスで井上昌己さんのトーラスレコード時代の楽曲が配信されたんですね。あくまで個人的には過去の楽曲が見直されている課程で、80年代アイドル、90年代渋谷系などと合わせてガールポップもきっと再認識されるんじゃないかと思っているのです。


ガールポップとFM局

1988年に首都圏ではj-waveが開局また、埼玉にはFM NACK5、千葉にはBayFMが、既存のFM YOKOHAMAや山梨から首都圏向けにも放送を開始するFM FUJIなど首都圏FM過当競争時代の幕開けとなります。
これらのFM局は既存の東京FMとはずいぶん毛色を変えていて、歌謡曲的な曲を流さない、また、洋楽偏重だったりもしましたが、一部の局ではDJとしてもアーティストを前面に押し出すようなスタイルになります。
また、NHK-FMでも限られた時間ではありますが関東局の一部時間帯ではガールポップ系の方が担当する番組があったりもしました。

この、アイドルではなく、プロデュース的なこと、楽曲制作も含めて自分を出していくスタイルの新しい女性像がこの当時の「テレビ」でも「既存のラジオ」でもなく「FM」で花開いていったという面があろうかと思うのです。

今、音楽は「楽曲を持ち歩く」時代では無く、サブスクリプション的な配信サービスで聞くことが多くなっていましょうが、この当時は「カセットテープ」をウォークマン的に持ち歩く時代が到来、1990年代にはCDを聞けるポータブルデバイスが出てきますが、いずれも電池の持ち時間に限りがあります。そんななか、長時間聞けるのがFMラジオだった。そして、ドライブのお供も交通情報が適時流れるFMラジオが最高に格好良かったという時代です。

アイドルほど子供っぽくなく、少し大人な恋愛感情を歌うことが多かったガールポップの方々が当時必要とされていたのは、バブル直後、少し頑張りすぎた若者に、もう一度落ち着いた恋愛を、そばにいる安らぎをというコンセプトにも合っていたような気がするのです。

そしてFM STATIONなどのFM情報誌(当時はその局で演奏された曲順を事前に雑誌で調べてテープに録音する「エアチェック」な時代ですので、FM情報誌はコアな音楽ファンに一目置かれていた)では彼女たちが特集されるに至って楽曲の完成度とルックスが合わさった一種の「ブーム」となっていく要因となったのでしょう。つまり、裾野はすごく小さいのだけど、一種ハマると深い、今の「個」のブームと似た状態が「FMラジオ」と「FM雑誌」、そしてレコード会社もそれを専門雑誌で応援するという形ができていったということです。


ガールポップとCD

さて、そのガールポップの皆さん、シングル曲の売り上げ枚数や順位は実際それほど伸びてはいません。しかし、アルバムとなると上位を獲得するというのがガールポップの特徴と言えるかもしれません。

つまり、一般的な「ヒット」の定義には全く引っかからず、メジャーな歌番組や紅白歌合戦などには選ばれない。でも、NHKのジャストポップアップのようなアーティスト紹介番組には選ばれる。そんなイメージですね。
極端言えば「売れていない」けど、「私は知っている」「私は素晴らしいと思っている」という状態。ですからシングル曲よりも多数の楽曲が楽しめるアルバムが欲しいし、また、ライブも比較的大きな会場でも埋まるだけのファンを獲得している(逆にライブに行くことができる層と一致する)ということになします。

そして、ある程度アルバムの枚数が出ていますから、今でも中古屋さんやオークションサイトで簡単に見つけることができる。これが今これからガールポップを聞きたくなったときにいい面です。ただ、配信に関しては残念ながらあまり対応できていないのが現実です。でも、CD化後のアーティストがほとんどなので、中古CDを購入しても再生することに困らないはずです。

ガールポップは「CD」への切り替えで手軽に聞くことができるようになった時代、そしてCDプロモーションやアーティストの人となりを紹介できるFMの存在、さらに彼女たちのビジュアルを押し出すことになるFM情報誌や専門雑誌の存在、これが融合して、小さいながらもブームとなり得た。そう思うのです。


ガールポップなアーティスト

さて、ここまで書いて、ガールポップのアーティストについては触れていません。これ、難しいんですよ。
でも、こんなCDが出ています。1994年に各レコード会社がタイアップして「ガールポップ宣言!」というコンピレーションアルバムをレコード会社別に出しています。

ガールポップ宣言!FORLIFE EDITION

規格番号:FLCF-25244
1この恋がすべて佐藤聖子
2世界でいちばんビンカンな場所ERINA
3ふたりでいたから長沢有起
4Choo Choo TRAIN~memories山本京子
5エール~あなたの夢が叶うまでWENDY
6青い夏に身をまかせ田中律子
7なごり雪永田真代
8私に翼があればELE
9T'EN VA PAS~彼と彼女のソネット原田知世
10えみちゃんの脱出さねよしいさ子

ガールポップ宣言!PONY CANYON EDITION

規格番号:PCCA-00569
1一夜一代に夢身頃平松愛理
2まずしい瞳吉田朋代
3小包山口由子
4伝説の少女尾崎亜美
5Together光の中で・・・貴島サリオ
6みんなパレードのせい加藤いづみ
7Without You永作博美
8RESCUE ME貴島サリオ
9好きになって、よかった加藤いづみ
10オリビアを聴きながら尾崎亜美

ガールポップ宣言!TAURUS EDITION

規格番号:TACX-2433
1恋はLiberty井上昌己
2散歩に出かけよう岡崎律子
3僕のわすれもの五味美保
4December通信丸山みゆき
5BLUE SKY小川範子
6胸が痛くてLaLa
7あの空に鳥を逃がして木瀬りえ子
8もう愛をはなさないmoon
9遅すぎただけ水沢瑶子
10Live On The Turf沢田知可子

ガールポップ宣言!FUN HOUSE EDITION

規格番号:FHCF-2162
1Chu-Chu永井真理子
2La-La-La永井真理子
3やせるな好奇心BOO WHO WOO
4さようなら~素敵な恋をありがとう~BOO WHO WOO
5こんな日は早起きしてあなたに会いたい近藤奈々
6春色のカーブ近藤奈々
7SwimmerSee-Saw
8キライになりたいSee-Saw
9これほどにせつない夜があるなんて宇井かおり
10Just and I宇井かおり

これは面白いアルバムです。なかなか今は入手が難しいとは思いますが、各個別のアーティストに関しては入手できると思いますので是非とは思いますが、小川範子さんはアイドル?とおもったら作詞作曲は遠藤京子(響子)さんだったりしますので、やっぱりシティポップ風です。
ソニー・マガジンズ監修ですが(CBS/EPIC)SONYは出さなかったのか情報が無く、出していたら谷村有美さんや田村直美さん、橘いずみさん、鈴木祥子さんとかがチョイスされていたんでしょうか。

井上昌己

で、今回は、数あるガールポップのアーティストから井上昌己さんを紹介するのですが、上記のコンピレーションアルバムにも入っていますね。

恋はLiberty
井上昌己
1993/9/29

1989年にデビューした井上昌己さん。多分私はFMで聞いて、なんか思い立って発注したんじゃないかなぁと思うのです。私の実家のあった街のレコード店、なかなかそういう「小洒落た」CDなんか全く置いてなくって、発注したけど1ヶ月近く届かなかった記憶があります。当時谷村有美さんや永井真理子さんですら、田舎のレコード店にはなかなか置いていなかったんです。

井上昌己さんは「第1回トーラスレコードスーパーボーカリスト新人オーディション」でグランプリを獲得してデビューします。幼少の頃から作曲をされていたそうで、当時はバブル終了期ですので、まだまだ新人にある程度お金を掛けて貰えた時期とも言えましょう。そして、なによりうれしいのが、彼女は今に至るまで活動を続けていて、楽曲を発表し続けているんですね。そして90年代に収録されたライブDVD「Live&Video Collection 1990―1996」を先日発売。アップコンバートされた綺麗な映像で蘇っています。さらにトーラス時代の楽曲を配信するなど、当時を知るファンにはうれしい限りです。

私がよく聴いていたアルバムの1枚が3枚目のアルバム「Just Open The Door」で、1991年に発売になっていますので、もう30年前の楽曲になります。せっかくなので配信されたSpotifyのリンクを。
でも、これが今聞いたらいいんですよ。
そしてアイドル的なかわいらしさもある歌詞にキャッチーな楽曲は、やっぱりアイドルのアルバムでもないし、かといって以前からのニューミュージック的な楽曲でもない、等身大な若い自分と重なり合うような、そんなイメージがあります。

とはいえ、あまりにも素直な感じな恋愛観は、まだまだ恋に奥手な幼気な男の子であった私にとっても、いやぁ恋は恐ろし愛は恐ろしと感じさせるようなものもありましょう。間違いなく自分の恋愛観に影響がある。
そして、自分が恋愛に悩んだ時期と、ガールポップブームは重なります。いろんなアーティストのライブに行って、ものすごい枚数のCDを買うことができた。ある程度自由に金が使えた時期にも重なります。
あのときの彼女とは成就しなかったけれど、その原因を歌詞に投影させるみたいな。いやぁ。若かったですね。

自分語りはともかく、長く活動し、多数の楽曲を提供され、きっと何人ものリスナーを救ったであろう歌声は今も衰えを感じません。ご本人は「声が若い!」を禁句としてるようですが、いえいえ、今のお声も魅力的なのです。
デビュー曲のメリー・ローランの島を英語で歌ったもので2016年に発売された楽曲です。この曲も素敵な曲なんですよね。作曲は杉真理氏です。

最後に季節柄1991年のこの曲を。今でもFMでこの時期たまに流れてくる定番曲ですね。ご本人の作曲です。

この冬は在宅勤務のお供に、年末年始の移動に、ガールポップなナンバーを是非。

カテゴリ: 歌謡曲が好き ガールポップ 井上昌己 90年代歌謡曲 80年代歌謡曲



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